お知らせ

第9回 写経の会の法話

こんにちは、こちらは慈悲の心と人の縁を、千葉市から伝え広めるお寺 日蓮宗 本円寺のブログです。
今回は第9回 写経の会にてお配りした教箋と、お話しした内容についてお書きします。

十 界(じっかい) — 心の中の十の世界 —

人は日々の生活の中で喜んだり、落ち込んだり、怒ったり、泣いたりと、さまざまな感情を持って暮らしています。そのほんの一瞬、瞬間にまざまざと変化していく心のあり方を十種類に分けて明らかにしたのが十界です。
自分の心が今どのような状態なのかを冷静に見ることが出来れば、きっと今よりも、よりよく生きて行くことが出来ることでしょう。

仏界(ぶっかい)
自らも悟り、又他をも悟らせつつあるもの。自他平等の状態。
崩れることのない自由自在の生命活動、生きていくこと自体を楽しむ絶対の幸福感、何物にも粉動(ふんどう)されない円満かつ強靱な主体性、何物にも穢されない清浄な生命、以上の四つに象徴される最高の境涯。

菩薩界(ぼさつかい)
他と共に悟りを得ようとして願を起こし、他の為に修行しているもの。
自己を超え「行動する事」を目的とする。

縁覚界(えんがくかい)
言葉や文字に頼らず、生活の中、身の回りから独り悟りを見つけ出した状態。
自然現象等を通じて自ら悟りを得る、得ようとする心のあり方。

声聞界(しょうもんかい)
教えを見聞く事によって真理を学びとろうとしている状態。
先人の教えの中から、真理を会得していこうとする心のあり方。

天上界(てんじょうかい)
求めるものが全て充たされた喜びの状態ではあるが、有頂天とも言える。
また、心の奥底に迷いや憂いがある為、それは本当の喜びではない。
十 界(じっかい) ¦心の中の十の世界¦(二枚目)

人間界(にんげんかい)
堕落する事も出来るし悟るとこも出来る、中間的存在。
全ての物事に一喜一憂するが、人間らしく平常で穏やかな状態。

修羅界(しゅらかい)
嫉妬心が強く、力で他を屈服させる為、戦いばかりしている状態。
心が曲がり、常に不安がつきまとう為、弱肉強食の言葉のとおりに行動する。

畜生界(ちくしょうかい)
思いやりの心無く、他を餌食として自分の得になる事しか見えない状態。
理性や道理ではなく目先のことにとらわれ、本能の赴くままに行動する。

餓鬼界(がきかい)
あり余っているのにまだ足りないと、欲の止む時が無い欲求不満の状態。
貪欲にとらわれ、理由を付けて他に与えることを拒む心のあり方。

地獄界(じごくかい)
極苦処ともいい、生きていること全てが苦であるという状態。
苦しみに拘束されて身動きできず、瞋りすら感じる苦悶の状態。

仏界・菩薩界・縁覚界・声聞界を四聖(ししょう)といい、天上界・人間界・修羅界・畜生界・餓鬼界・地獄界を六道(ろくどう)といいます。
普段何も考えずに行動する時、多くの場合はこの六道の心を行き来していると言われております。ただ、これら十界の全ては自分自身が目指す事ができるものです。どれを選ぶ、選ばせるかは自分自身なのです。

平成二十六年五月 写経の会(第九回目) 法 話

sabaku

こちらが修羅の様な怖い顔で接するならば、きっとその人も修羅の様な顔になることでしょう
それとは別に、菩薩の様な顔で接するならば、きっとその人は同じく菩薩の様な顔になることでしょうね。