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第17回 写経の会の法話

こんにちは、こちらは慈悲の心と人の縁を、千葉市から伝え広めるお寺 日蓮宗 本円寺のブログです。
今回は第17回 写経の会にてお配りした教箋と、お話しした内容についてお書きします。

但 行 礼 拝 (たんぎょうらいはい)

― あなたの仏を敬います ―

はるか昔「不軽(ふきょう)」と呼ばれている菩薩がおりました。
その菩薩がおられた時代は正しい法がすたれ、像法と呼ばれる時代です。
人は皆、増上満になっておりましたが、不軽菩薩は行くところ、出会う人々全てにこのように語られました。
「私は、あなたを軽んじません。あなた方は皆さま仏になる道を修行され、必ず仏となられる方々ですから。」
それを聞いた人々は逆に不軽菩薩を軽んじ、そしり、罵詈雑言で、それに応えました。
中には杖で叩いたり、石を投げつける者もおりました。
それでも、不軽菩薩は、これを耐え忍び、人々を礼拝することをやめませんでした。

この但行礼拝の行によって、不軽菩薩は自ら持つすべての罪を拭い去り、臨終の時になって虚空の中において、
仏が先に説いた法華経の二十千万億の偈を聞くことが出来たのです。
そして、六根は清浄となり、神通力も得て、その寿命が増し加えられ、また、人々に広く法華経を説いたのです。
いろいろな法に執着していた人々は、みな啓蒙され菩薩となり、仏道に導かれ、仏道を成就したのです。

この時の不軽菩薩とは、お釈迦様の前世の姿でした。
そしてこの時の、不軽菩薩の教えを聞いた人々は私達です。
『あなた方は仏となります』と言う不軽菩薩の言葉を聞いた者は、その因縁により、無数の仏と会うことが出来るのです。

お釈迦様は【法華経・常不軽菩薩品第二十】の中でこう言っておられます。
「不軽菩薩の教えを聞いた人々はここに集まっている、五百の菩薩たちであり、四部の清信士女たち。
今、まさに私の前で法を聴いている者たちなのです。わたしは前世に於いて、
みなさんに、この第一の法を聴き受けることを勧めて、開示して人々に教え、涅槃に至らせ、
また、生まれては同じ皆さまに教えると言うことを繰り返し、この経典を何世代も持ち続けているのです。
億億万劫不可思議の昔から、時に応じてこの法華経は聞かれ、億億万劫不可思議の昔から、
時に応じてこの法華経を諸仏世尊は語られるのです。
だから、仏滅後の行者は、このような経を聞いて疑惑の心を生じてはならないのです。
まさに、一心にこの経を広く説いて応じなくてはなりません。
そうすれば、いつの世でも仏さまと出会うことができ、素早く仏となることが出来るのです。」と。

この佛説は、愚かな私たちにも仏様のような素晴らしい心が備わっているということ。
私たちは自分の考えが常に正しいと思い込み、正しいものをなかなか正しいと見ることができないということ。
そして私たちがお互いを敬いあい、そして法華経にまた出会えることは、何ら不自然なことではなく、
またこれからも自然に続くということを示しておられるのです。

平成二十七年一月 写経の会(第十七回目) 法 話

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