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第15回 写経の会の法話

こんにちは、こちらは慈悲の心と人の縁を、千葉市から伝え広めるお寺 日蓮宗 本円寺のブログです。
今回は第15回 写経の会にてお配りした教箋と、お話しした内容についてお書きします。

【三世間(さんせけん)と一念三千(いちねんさんぜん)】

三世間(さんせけん)

三世間とは、五蘊世間、衆生世間、国土世間の三つをいいます。「世間」とは差異・差別・区分けのことです。

一、五蘊世間(ごうんせけん)
五蘊とは
色(しき)・・・形で捉えられる側面。肉体、物質
受(じゅ)・・・外界の事象を受けいれていく働き
想(そう)・・・想念すること
行(ぎょう)・・・想念に基づいて自ら行動すること
識(しき)・・・思慮・分別する精神の作用
の五つの事をいい、これが個々の存在によって異なっていることを、五蘊世間といいます。

二、衆生世間(しゅじょうせけん)
衆生とは、訳して有情(うじょう)といい、意識・精神作用を有するものをさします。
それぞれの衆生は、あるいは地獄界を基調とした地獄の衆生、あるいは人界を基調とした人界の衆生というように、
十界の差別の中に存在しております。

三、国土世間(こくどせけん)
国土とは、衆生の住する環境をさしますが、これを外界に置くのではなく、衆生の生命と分けることの出来ない関係です。
同じ国土であっても、住する衆生の境界に従って、あるいは地獄あるいは仏国という違いが生じます。

一念三千(いちねんさんぜん)

一念三千とは、一念(一瞬)の心に三千の諸法を具足することをいいます。
十界×十界×十如是×三世間=三千世間

天台大師が『摩訶止観』に示された法理で、「夫(それ)一心に十法界を具す。一法界に又十法界を具すれば百法界なり。
一界に三十種の世間を具すれば百法界に即ち三千種の世間を具す。此の三千、一念の心に在り。若し心無くんば已(や)みなん。
介爾(けに)も心有れば即ち三千を具す」と説かれています。
一念三千の構成は、刹那(一瞬)の一念に十界があり、その十界各々に十界が具わって百界となり、
さらに十如是が具わって千如是となり、千如是に衆生・五薀・国土の三世間が具わり三千世間となるのです。
ただし、三千は単なる数量を意味するのではありません。
天台大師は法界の実相を総括して三千と称し、この法界三千における実在と現象の互具(ごぐ)を説いているのです。

このような天台大師の一念三千説を踏まえた上で日蓮聖人は、迹門・本門の一念三千を説かれました。。
迹門の一念三千は、『方便品』に説き明かされた諸法実相の義により、私たちの心(己心)に具わる三千の妙理を説かれたもので、
天台大師の説かれた一念三千の事です。
これは、己心に具わる十界互具の理を観ずるので理の一念三千といいます。理の一念三千を説く仏は始成正覚の仏であり、
本門の仏に対すれば未だ真実の仏ではありません。
本門の一念三千は、『寿量品』に至って初めて久遠実成が説かれ、釈尊の本因・本果・本国土に約して仏の三世常住が明かされましたので
事の一念三千といいます。釈尊在世の衆生は、本仏常住の教えにより、仏の永遠の生命と自らの生命とが同体であることを自覚し、能化所化同体の一念三千が成ぜられました。

日々何気なく過ごしている、その一瞬一瞬にも仏の心は常に私達の中に内在しているのです。そのことを意識していくことにより、より良い人生が送れることでしょう。

平成二十六年十一月 写経の会(第十五回目) 法 話

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