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第8回 写経の会の法話

こんにちは、こちらは慈悲の心と人の縁を、千葉市から伝え広めるお寺 日蓮宗 本円寺のブログです。
今回は第8回 写経の会にてお配りした教箋と、お話しした内容についてお書きします。

法華七喩(ほっけしちゆ)の四
化 城 宝 処(けじょうほうしょ) 【化 城 喩 品】
お釈迦様はこう話されました。
あるところに非常に長く険しい困難な道を、高価な宝物を求めて進んでいく旅団がいました。
一行のなかには足が弱い人もいれば、弱音を吐き根気に欠ける人もいましたが、
道案内人として優れた智慧と神通力を具え、この道の全てを知り尽くした一人の導師が付き添っていました。
この一行が難所を通過している最中の出来ごとでした。
何日も歩き続け、険しい道のりに疲れ果ててしまった旅団員達は
「こんな厳しく恐ろしい道はもう嫌です。もう気力は限界です。
先はまだ遠いようなので今来た道を戻り、家に帰りましょう」と弱音を吐いています。
導師は一計を案じ、旅団から遠く見える距離に、街と大きな城を幻として現わして見せました。
導師は旅団員達に言いました「みなさん、もう大丈夫ですよ。ほら、大きなお城が見えるでしょう、
あそこまで頑張って行って、中で休ませていただきましょう」
これを聞いた皆は大喜びで歩みを進め、お城でごちそうになり、何日か休息しました。
旅団員達は疲れがすっかりとれて、気も身体も回復しました。
それを見た導師はその幻の城を消してしまい、皆に言いました。
「今までここにあった街や城は、私が神通力で造った幻の街やお城だったのです。
疲れた皆さんを癒すため、初めの心をとり戻させるため、方便として造ったものです。
さあ、行きましょう、宝の有る場所はもうすぐそこです」
旅団員達は幻ではありましたが、お城で身も心もすっかり回復したので導師の言葉に従い、お城を出発しました。
導師は旅団員を宝の有る場所まで導いてやることができ、また旅団員達は宝をたくさん手に入れ、
喜び勇んで元気に家に帰ることができました。
このお話しの導師は佛様、旅団員は私達衆生、宝とは佛の最高の教えの事です。
佛様は苦しみや悲しみの多いこの世界から佛法によって私達を救おうとしているのですが、
最初からかけ離れた難しい教えを説いても凡夫である私達はただ困惑するだけです。
そこで私達が迷わないように方便の教えを説くのです。それを幻のお城として表現しているのです。
平成二十六年四月 写経の会(第八回目) 法 話

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内容
私たちの人生は決して楽なものではありません。
もしかして苦しいこと、悲しいことの方が多いかもしれません。
心が疲れて休みたくなった時、前を向くのが辛くなった時、そんな時は迷う事無く仮の城に逃げ込んでください。
長い人生立ち止まることも引き返すことも必要です。
心の疲れがとれたのなら、また歩みを始めましょう。