お知らせ

「全ての者に定性無し」

こんにちは、こちらは慈悲の心と人の縁を、千葉市から伝え広めるお寺 日蓮宗 本円寺のブログです。

今日は「全ての者に定性無し」という法話をお書きします。

昔、インドのある国の王が1頭の象を飼っていました。
気力勇壮、悪心猛烈な象で、戦争の時には王の乗り物とし敵を蹴散らし、
また罪人があればその象に踏み潰させておりました。

ある時厩舎が火事になり、象を他の場所に移すことになりました。
新しい厩舎は僧侶がお経をあげる僧坊のすぐ近くに出来上がりました。
僧侶があげるお経の中に、
「善をなすものは天に生ず。悪をなすものは淵に生ず。」
というものがありました。
象は朝となく夕となく、この句を聞かされて心が柔和になり慈悲の心を起こすようになりました。

ある時大罪人があったので、国王は象に踏み潰させようとその罪人を象の厩舎に連れて行きました。
ところが象は、ただ鼻先でにおいを嗅いだりなめたりするだけで、一向に踏み潰そうとしません。
他の罪人にも同じような風であった為、王はどうしたものかと家臣達に相談しました。
家臣の1人が言いました。
「象の厩舎の近くに僧坊があります。仏様のありがたい言葉を毎日聞いているに違いありません。
どうやら慈悲の心を持ってしまったようですな。今度は一つ、屠殺所の近くに厩舎を建て直してはいかがでしょう。
象は屠殺のありさまを見て、再び悪心を起こすことでございましょう。」
王は早速助言の通り、厩舎を屠殺所のすぐそばに立て直しました。
象は、殺したり斬ったり皮を剥いだりするその残忍な様子を毎日見せられて、またもとの様に
悪心猛烈となり残忍な行為も出来るようになりました。

a895c4fbe16ac502f07dc9f13280077c_s

動物ですらこの様であり、人においてはなおさらの事です。
おかれる環境や、深く付き合う人の行動や言葉によって心は変わってしまうものです。
自分の身の置き所を深く考えるのですよというお話しです。
また、自身が環境を作る立場なら、そこに集う者の為にも良い環境を作りなさいよ、とも受け取れますね。